2015年 日本放射光学会 各表彰受賞者について

2015/01/10

2015年 日本放射光学会が贈呈する各表彰の受賞者についてお知らせします。

日本放射光学会
会長 村上洋一

第19回 日本放射光学会奨励賞

小林 正起 会員 (KOBAYASHI Masaki)
高エネルギー加速器研究機構
超高分解能軟X線発光分光を用いた磁性半導体の電子構造解析
受賞理由
 小林正起氏は博士号を取得したのち、SPring-8の東大アウトステーションBL07LSU発光分光ステーションの建設に携わった。同氏が中心となってそのデザインを進め、軟X線の比較的低いエネルギー領域では、現在世界最高のエネルギー分解能を達成している。この実験ステーションは、軟X線領域の高エネルギー側をカバーするスイス放射光施設(SLS)の同様の装置とは相補的なものとなっており、国内外から多くのユーザーを集める装置となっている。同氏は本装置を用いて、希薄磁性半導体(Ga,Mn)AsのMnの電子状態に着目した研究を行い、バルク敏感な測定でMn 3d電子と配位子の電子との混成を明らかにした。この研究成果は、本系における磁性起源の理解において貴重な情報を与えた。また同氏は数多くの論文を発表し、海外の研究者との共同研究も多く、その実績も評価できる。このように、世界最先端の装置開発および、それを利用した一連の研究成果は、放射光科学分野の研究業績として高く評価できる。以上の理由から、同氏は日本放射光学会奨励賞に十分値するものと判断する。

受賞研究報告 学会誌 Vol.28 No.2 (2015)

第2回 日本放射光学会 功労報賞

三國 晃氏 (MIKUNI Akira)
(株)つくば研究開発支援機構
受賞理由
 三國晃氏は1962年に東京大学物性研究所に入所して以来、SOR-RINGおよびフォトンファクトリーにおいて、数々の技術開発を成し遂げられ、放射光科学の発展に大きく貢献された。また同氏は施設の技術者の立場で優れた技術開発を行うとともに、多くの後進の技術者を育成し、今日の放射光科学の発展の重要な礎を築いた。 以上の理由から、同氏は日本放射光学会功労報賞に十分値するものと判断する。

功労報賞報告 学会誌 vol.28 No.2 (2015)